レゾン

池上彰さんの未来世紀ジパングという番組を見た。
今回はパキスタンの特集。
パキスタンの教育の現状や、これからの経済の伸びしろについての話。
自分が見てきたパキスタンと変わりない、明るいとは言えない現状。
マララの訴えた、女性の教育の権利。
それを潰そうとする、パキスタンタリバンの銃撃。
そんなパキスタンに対して、日本は何ができるのか。
日本人学校にいたときに講演をしていただいた、JICA教育専門家の大橋知穂さんの話。


自分は、世界なんて、人一人の力なんかじゃ変わることなんて無理だ、と思ってしまっているけれど、
大橋さんは目の前にいる苦しい生活をしている農村部の学校に行けない女性たちに教育の機会と場を提供することで、
少しずつ、変えようとしている。
小学校の中退率が世界ワースト2の、パキスタンで。


大きな変化が起こるわけではないけれど、少なくとも目の前の人たちが、
読み書き計算ができるようになる。
節約ができるようになる。
働き口ができるようになる。
テロ組織への流入を防ぐことになる。
理不尽な死を迎える人が減ることになる。
自分のために、国のために、成長する土壌が出来上がる。
世界6位の人口が、その土壌の上で様々なものを作っていく。
大きな変化になる。


世界が、人一人の力から変わっていく。


教育がなければ、人は人たり得ない。
そんなの、当たり前。言われなくたって知ってるよ。


日本は、恵まれている。
そんなの、当たり前。言われなくたって知ってるよ。


だけど、
パキスタンという国を実際に見て、
教育を受けられなかった子供達を見て、
日本という国で教育に携わって、
ようやく、その「当たり前」って骨に肉が着いてきた。
自分がいかに尊い仕事に関われているのかということが、わかってきた。

その肉がついた自分は、その肉のついた体を動かして、周りに転がっている骨にも肉をつけてあげられる。
でも、それはとても難しいこと。
自分はパキスタンを見たからこそ、実感できた。
見ていなかったら、多分、絶対、骨でしかあり得なかった。

大橋さんは、つかないはずの骨に、今も肉をつけて回ってる。
即効性のあるものではない。



面白くなってきた。
信念が、見えてきた。